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十分に
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「健康維持の点で,現在用いられまた今後見込まれるどんな薬も,生涯にわたる計画的な運動に勝るほどの効果は期待できない」。 これは,医学者のウォルター・ボルツ2世が1982年に書いたものです。以来23年間,数多くの健康専門家や保健機関がこの言葉を書籍,雑誌,ホームページに引用してきました。ボルツ博士のアドバイスは,1982年当時と同じく今日でも通用し,健全で適切な見解として広く受け入れられています。それで,『十分に運動しているだろうか』と自問してみるのは良いことです。 自分は太りすぎてはいないから運動する必要はない,という誤った考えをする人がいます。肥満や太りぎみの人が定期的な運動から大いに益を得ることは確かですが,太りぎみでなくても身体活動を増やすなら,全般的に健康を増進させ,ある種のがんなどの重い病気を予防できる可能性は高いのです。また,最近の研究によれば,体を動かすことが不安を軽減し,うつ病の予防になる場合もあります。実際,ほっそりした多くの人も精神的また感情的ストレスを抱え,心臓血管疾患や糖尿病など,運動不足によって症状の進む病気にかかります。ですから,太りぎみでもそうでなくても,座っていることの多い生活を送っているなら,身体活動を増やすのは良いことです。 座っていることの多いライフスタイルとは?十分に体を動かしているかどうかはどうしたら分かるでしょうか。座りがちのライフスタイルとはどのようなものかについては様々な意見があります。とはいえ,大半の人にあてはまる一般的な規準に関して,ほとんどの健康専門家の意見は一致しています。幾つかの保健機関が採用している説明で,座っていることの多いライフスタイルとは以下のようなものです。(1)30分以上の運動や体を激しく動かす活動を週に3回もしておらず,(2)余暇のときはあまり動かず,(3)1日に100㍍以上歩くことがめったになく,(4)起きている間はほとんど座っていて,(5)体をほとんど動かす必要のない仕事をしている。 あなたは十分に運動しておられますか。そうでないなら,今日から何かを始めることができます。『でも時間がない』とおっしゃるかもしれません。朝起きたとき体が重く,一日の初めは身支度をして仕事に出かけるのが精一杯です。そして長い一日の終わりには,やはり疲れきっていて運動どころではなく,やるべき事がほかにいっぱいあります。 また,運動をし始めたものの,きついと感じたり,運動後に気分が悪くなったりして,数日でやめてしまった人も大勢います。体力維持のためには厳しいウエート・トレーニングをこなし,毎日何キロも走り,考え抜かれたストレッチを行なわなければならない,と考えてしりごみしている人もいます。―「ウエート・トレーニングとストレッチ」という囲み記事をご覧ください。 |
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ウエート・トレーニングとストレッチ
研究者たちは最近,バランスの取れた体力づくりには,ウエート・トレーニングなどの筋力を鍛える運動を含めるのがよいと見ています。ウエート・トレーニングは適正に行なえば,筋肉を強化するだけでなく,骨密度を増し,体脂肪を減らすのに有効です。
ストレッチをして体を柔軟にし血行をよくすることを勧める健康専門家も多くいます。ストレッチをすると,関節が十分に曲がるようになります。 とはいえ,けがをしないために,ウエート・トレーニングもストレッチも正しく行なう必要があります。信頼できる資料を読んだり医師に相談したりするなどして基本を学ぶのがよいでしょう。 |
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さらに,費用がかかり,不便に感じる点もあるでしょう。ジョギングには,ふさわしいウエアとシューズが必要です。筋力トレーニングは,ダンベルやそれなりの運動器具を必要とします。スポーツクラブに入るにはけっこう費用もかかるでしょう。ジムに通うには時間がかかるかもしれません。それでも,こうしたことはいずれも,体をよく動かして健康を増進させることができない理由とはなりません。 |
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運動と精神作用激しい運動を行なうと,ドーパミン,ノルエピネフリン,セロトニンなど,精神安定作用のある脳内化学物質の分泌が促進されることを科学者たちは発見しました。これは,運動をすると気分が良くなるという意見が多いことの説明となるかもしれません。定期的に運動する人は,座ってばかりの人よりうつ病になりにくいことを示す研究もあります。そうした研究の中にはそれほど確定的でないものもありますが,多くの医師はストレスや不安を軽減する方法として運動を勧めます。 健康増進の心がけ最近の研究によれば,座っていることの多い人は幾らか体を使う必要のある日常の活動を増やすだけでも益を得られるようです。以下のようなことができます。
水分を十分に取っていますか
運動中に水分を十分に補わないと,健康を損なうことがあります。疲労が生じ,体の動きがぎこちなくなり,けいれんが起きかねません。運動すると発汗が促されて,血液の量が減少することがあります。発汗によって失われた水分を補わないと,血液を循環させるために心臓がよけいに働かなければならなくなります。脱水症状を避けるために,運動の前後も運動中も水を飲むことが勧められています。 |
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現実的な目標を定める何よりも,運動を始めようという時は,無理な目標を立てないことです。ゆっくり始め,徐々に量を増やしてください。研究者たちは最近,軽い運動や中程度の運動の効果を認め,座りがちの生活を送ってきた人が少しずつ運動量を増やしていくことを勧めています。例えば,「一日に数分ずつ増やしていって30分間の運動にし,週のほとんどの日,できれば毎日行なうように」と,カリフォルニア大学が発行している栄養・体力・ストレス対処に関する刊行物「カリフォルニア大学バークレー・ウェルネス・レター」(英語)に述べられています。「歩くことや階段を使うことなど通常の活動をすればよく,ただ,回数を増やす,少し長く行なう,少し速度を上げるというだけのことだ」ともあります。 初めて行なう人は,量や激しさではなく定期性に注意を向けるべきです。筋力や持久力がついてきたら,運動の量や激しさを増やすことに取り組めます。それには,早足のウォーキング,ジョギング,階段上り,サイクリングなど,少し激しい運動を長めに行なうようにすればよいのです。やがて,よりバランスの取れた体力づくりとなるよう,ウエート・トレーニングやストレッチなども取り入れられるかもしれません。ただし,多くの健康専門家は,「痛むほどやって初めて効果がある」といった運動方法に今では同意していません。それで,けがの危険を減らし,疲れ果てたり気落ちしたりしてやめてしまうことのないように,気持ちよい程度にしておくのがよいでしょう。 定期的に行なう運動する時間が取れないと思える人たちは,上述の「ウェルネス・レター」にある次の提案を歓迎するでしょう。「1日に短時間の運動を何回かする場合でも,その効果は累積する。つまり10分間ずつ3回運動すると,30分間運動したのとほぼ同じ効果がある」。それで,健康を大幅に増進させるために激しい運動を長く行なうことは必ずしも必要ではありません。「アメリカ医師会ジャーナル」誌(英語)によれば,研究者たちは,「激しい運動だけでなく軽い運動や中程度の運動でも,冠状動脈性心疾患の危険を減らすことに役立つ」ことを発見しています。 とはいえ,定期的に行なうことは必要です。ですから,運動をする明確な日時をカレンダーを見ながら決めるとよいかもしれません。運動の予定を二,三週間つづけると,それが生活の習慣になることに気づくでしょう。健康の増進を実感できると,運動する時間を楽しみにするようになることでしょう。 |
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中程度以上の運動毎日の身体活動を幾らか増やすだけでもかなり健康が増進しますが,研究者たちは,より激しい運動にさらに大きな効果があると述べています。例えば,以下のような運動です。 健康の専門家は,激しい運動を計画する前に医師に相談するように勧めています。
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活動的であるのは良いこと毎日30分の運動でも健康によいのは確かですが,もう少し行なえるとよい,というのが医師たちの最新の意見です。現在,心臓の血管を最良の状態に保つには,毎日合計60分間の運動をするのがよいと言われています。この場合も,短時間の運動を1日に何回か行なうのでも構いません。「カナディアン・ファミリー・フィジシャン」誌(英語)はこう述べています。「現在提唱されているのは,1日に合計で60分間運動することである。健康に及ぶ益の幾つかは,運動を分けて行なうかどうかで大した違いはないようだ」。この医学雑誌はさらに,「激しい運動はあらゆる死亡率の低下に寄与するという証拠を提出する研究もあるが,現在では適度な運動を奨励するほうに重きが置かれている」とも述べています。 肝心な点は,人の体は動き回り,定期的に体を動かすようにできている,ということです。座っていることの多いライフスタイルは健康によくありません。いつも活動的であることの代わりとなるビタミン剤,薬剤,食品,外科的な手法はありません。もちろんわたしたちすべては,中程度であれ激しいものであれ,少しづつ分けてであれ長時間続けてであれ,日常的に十分運動するには時間が必要である,という現実に直面します。食事や睡眠のために時間を取るのと同じように,いつもよく体を動かすための時間を作ることも不可欠です。これには,自己鍛錬と自己管理が欠かせません。 努力の要らない運動はありません。それでも,活動的な生活を続けることに伴う不便や犠牲は,活動的でない生活によって命に及ぶ危険に比べれば大きくはないでしょう。よく体を動かし,時々汗を流し,筋肉を使ってください。そうすれば,長く健康でいられることを期待できるでしょう。 |
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体を大切に―それは神からの贈り物聖書は,体,そして命という贈り物に深い敬意を持つように勧めています。古代イスラエルのダビデ王は,「わたしは畏怖の念を起こさせるまでにくすしく造られている」と書きました。(詩編 139:14)真のクリスチャンはダビデのように,命という贈り物に対する鋭い認識を示します。健康管理を大切な責任と考えます。 およそ2,000年前に,神は使徒パウロに霊感を与えて,次のように記させました。「体の訓練は少しの事には益がありますが,敬虔な専心はすべての事に益が(あります)。それは,今の命と来たるべき命との約束を保つのです」。(テモテ第一 4:8)パウロの言葉は,運動には確かに益があるとはいえ,それは神との良い関係という長期的な益ほど大きくはないことを示しています。ですから真のクリスチャンは,健康を追求する点で平衡を保ち,「体の訓練」が神への崇拝よりも優先されることが決してないように努めます。 クリスチャンは,健康であればそれだけ神と隣人への愛を示す面で多くを行なえることを認識しています。ふさわしい栄養と休息に加えて,活動的であることは健康に不可欠です。真のクリスチャンは自分の体を神からの贈り物として大切にし,健康によい習慣を保つことに努めます。 |
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「目ざめよ!」誌,2005年5月22日号より |